牛尾の思い出7

ベイリーさんが亡くなった時、私の息子はまだ5歳でした。もっと小さい頃からベイリ〜しゃんベイリ〜しゃんと言っていた息子はよくお行儀をベイリーさんに注意され、その度神妙な顔で「はいっ」と返事をしていたのを思い出します。それでもクリスマスになるとプレゼントを買ってくれるベイリ〜しゃんは大好きで、クリスマスが近づくとベイリーさんの所へいきたがりました。 ある日息子が私にどうして母さんはベイリーさんに丁寧な言葉を使うのか?と質問されて驚きました。そういえば、ベイリーさんと同じ年頃の自分の母や主人の母に、もっとフランクに話しているなあと気づかされました。でもどう言う風に伝えたら良いかよくわからず、ベイリーさんはね、母さんが働いている画廊の社長さんでお給料をくれる人なんだよと話してみましたら子供心に何だか大切な人なのだと思ったのか、次に会う時からとてもお行儀がよくなりました。 そしてベイリ〜しゃんお布団かけてあげますよとお世話している息子に「あら今日は優しいのね」と微笑ましく接してくれるベイリーさんでした。 ベイリーさんが亡くなった時、私は画廊は閉めるつもりでしたが、息子が「ベイリ〜しゃんが悲しいって泣いちゃうよ、僕も頑張るから母さんも頑張って」と言ってくれました。 奥の事務所で