牛尾の思い出 2
ベィリーさんはアメリカ人の奥さんだったのですから当然英語が話せました。
外国のお友達も多く、よく異国の人が画廊に訪ねて来て、
あまり上手にしゃべれない私はアタフタしながら精一杯の英語でもてなすと、
「どうもありがとう」と流暢な日本語で答えられたりして、
赤面する事も度々ありました。
ベィリーさんの英語は外国人の方と違い単語と単語をつなげて話さないので
わかりやすく、とても勉強になりました。
聞いていると、そうか、こんな時はそう言えばいいのだと言う事が良く解り、
覚えている内にまたあのアメリカ人こないかなぁ等と思ったこともあります。
ある日電車の中で映画サウンドオブミュージックの話になったとき、
「あなたドレミの歌を歌える?」と聞かれたので、日本語で歌ってみせたら、
「英語で歌えないの?」とけげんな顔で見つめられ、
「私が教えてあげる」と、電車の中なのに
ベィリーさんが歌った後をわたしが真似して歌うと言う具合に、
特訓がはじまりました。
駅に着くまで20分くらいでしたが、あまりにベィリーさんが熱心に教えてくれるので、この歌を歌えないのは恥ずかしいのかもしれないと思い必死で覚えました。
おかげで英語でドレミの歌が歌えるようになりました。
その電車車両には意外に大勢の人が乗っていましたので、
静かには歌いましたが、同じ車両の方達は私達を変な女性達と思ったかもしれません。
今でも、映画サウンドオブミュージックがテレビでやっていたりすると、
一緒に歌って、ベィリーさんを思い出します。
これは補足ですが…ドレミの歌は日本語と英語ではまったく内容が違います。
一度映画を観てみて下さい。